せきずいけっかんしゅ

脊髄血管腫

最終更新日:
2018年09月11日
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2018/09/11
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概要

脊髄血管腫とは、脊髄にできる血管腫のことで、脊髄に出血や虚血を引き起こすことからさまざまな症状がみられます。

血管腫とは、血管が異常な増殖や拡張を引き起こすことで形成される良性腫瘍であり、皮膚を始めとして体内のさまざまな場所に発生します。そのなかでも脊髄にできたものを脊髄血管腫と呼びます。

脊髄血管腫にはさまざまな病態があり、動静脈奇形や海綿状奇形、血管芽腫などが挙げられます。それぞれ腫瘍の成り立ちは異なりますが、引き起こされる脊髄病変はほぼ同一です。

原因

脊髄血管腫が生じるメカニズムはいまだに明確には解明されていません(2018年時点)。しかし、脊髄血管腫の病態のひとつである海綿状血管腫は、常染色体優性遺伝という遺伝形式によって家族性に発生することが知られています。また、動静脈奇形の多くは胎児期の発生異常です。そのため、生まれつきのもの(先天性)であると考えられています。

症状

脊髄血管腫はそれ自体が脊髄を圧迫して神経症状を引き起こすこともありますが、脊髄への血行を妨げたり、血管腫が破れて出血したりすることで重篤な症状を引き起こすことが問題となります。

特に血管腫が破裂することで脊髄内に出血を生じると、神経障害が現れるだけでなく、髄液を通して脳内のくも膜下腔に血液が巡り、くも膜下出血と同様に脳圧の上昇や髄液の通過障害による水頭症をきたすことがあります。

また、虚血や圧迫によって脊髄にダメージが加わると腰痛や背中の痛みを生じます。さらに、ダメージが加わった部位から下側の支配領域に運動障害や感覚障害、膀胱直腸障害などを引き起こし、重篤な後遺症を残すこともまれではありません。

検査・診断

脊髄血管腫では、血管腫の存在を確認するために、CTやMRIなどの画像検査が行われます。特にMRI検査は神経への圧排や病変位置・大きさを正確に評価することが可能で、他の脊髄腫瘍との鑑別にも有用であるため、一般的に広く行われます。

また、治療方針を決めるうえで、血管腫と各種動脈や静脈とのつながりを詳細に観察することが必要になるため、造影剤を用いた脊髄血管撮影が行われます。

他の脊髄腫瘍と鑑別し確定診断を行うために、針を血管腫に刺して組織の一部を採取し、病理検査が行われることもあります。ただし、この検査では、出血などのリスクを伴います。

治療

根本的な治療としては、血管腫を摘出する手術治療や血管腫につながる血管を塞栓するカテーテル治療が行われます。手術やカテーテル治療には高い技術が必要となることから、治療は経験豊富な医師がいる医療機関で行うことが推奨されています。また、かつては放射線治療が行われていたこともありました。

しかし、血管腫を完全に消滅させることはできず、脊髄障害などの副作用があることから、近年ではあまり行われることはありません。

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